2012/06/09

6月のウェディングドレスのお客さま/最後の一針

ジューンブライドの6月。

atelier nae ウェディングラインでは、6月の花嫁さまのウェディングドレスをおつくりいたしました。

30年ほど前に ご新婦さまのおばあさまが 娘さんであるご新婦さまのお母さまへ手づくりされたウェディングドレスを、ご新婦さまご自身のウェディングドレスへ仕立て直してほしいとのご依頼でした。

おばあさまお手製のドレスは、美しいフランスレースをふんだんに使って仕立てられた、総レースの愛らしい印象の袖つきエンパイアドレスでした。

初めての打ち合わせの際、ご新婦さまの好みを伺ったところ、すっきりとした モダンかつナチュラルな雰囲気のドレスをお好みでしたので、デザインはご新婦さまのご要望をとりいれ、いかにお母さまのドレスを活かすかというのが課題でした。

おばあさまは洋裁をされていたとのことで、ドレスはとても丁寧に作られていて、そのドレスにどれだけの想いが込められていたかを考えると、できるだけほどいたり傷をつけたりする箇所は最小限にとどめようと決めました。

エンパイアライン(胸下切り替え)の胸から下のスカート部分のレースはかなり広幅で、かつ美しいモチーフが贅沢に入ったレースでしたので、こちらをまるごと使うことにし、縫い目をほどいて、一枚布のレースを取り出しました。

そして 極力切ることなく、ギャザーやフレア分量を調整することで、その一枚布のレースを新しいドレスのスカートにすることができました。

余ったレースのモチーフは 一枚一枚切り出して、身頃の装飾へ使うことにし、
一針一針 ビーズとともに丁寧に手縫いしていきました。

感動的だったのは、ご新婦さまのお父様、お母様、そしておばあさまが、最後の一針を縫いにアトリエにいらっしゃったこと。
特に おばあさまは感慨深げにじっくりと見てくださり、嬉しそうにレースに数針縫ってくださいました。

時を超えて、おばあさまと一緒にお作りしている心持ちだったし、
おばあさまやお父様お母さまからご新婦さまへの、幸せへの想いや祈りや 大きな包容力をひしひしと感じました。

佳き日となりますよう、こころよりお祈りしております。

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